子どもがいない夫婦の遺言


子どもがいない夫婦の遺言

「うちには子どもがいないから、僕の財産は全部妻のものになるんでしょ?」

1.○
2.×

正解は・・・
2.× です!

誤解されている方が多いですが、子どもがいないご夫婦のどちらか一人が死亡した場合、法定相続分は、100%妻ではありません。

最近、晩婚化、非婚化が叫ばれていますが、それとともに子どものいない夫婦も増えました。ダブルインカムで悠々自適・・・それも楽しい老後が待っていそうです。
ですがちょっと待ってください。
相続のことを考えたとき、何も手を打たなくてよいのでしょうか?

A:夫が死亡して、妻と夫の父母・兄弟が残された場合、法定相続分は次の通りです。

妻    3分の2
夫の父母 3分の1
夫の兄弟 なし

B:夫が死亡した時、すでに夫の両親が他界しており、妻と夫の兄弟が残された場合、法定相続分は次の通りです。

妻    4分の3
夫の兄弟 4分の1

順番通りに天寿を全うすれば、パターンBが一般的です。
これはつまり、夫が死亡した後も妻が今まで通り自宅で暮らすためにも、夫の兄弟と遺産分割協議をしなければならないということを意味しています。
夫名義とはいえ、自分(たち)の家に住むのに、夫の兄弟に承諾してもらわなくてはならないなんて、違和感がありませんか?
仲があまり良くなかったり、疎遠であったりすると、話を持ちかけることもためらわれるかも知れません。
しかも、話をしてOKしてもらえたらよいですが、自宅の資産価値が高くて、4分の3を超えている場合、兄弟の法定相続分を満たすため足りない分はお金その他で分ける必要も出てきます。
不動産(自宅)はあるがキャッシュはない・・・不幸なケースですが、夫と暮らした我が家を手放してお金で相続を解決した奥様もいます。

こんなことにならないために、子どものいないご夫婦は、年齢に関係なく準備が必要です。
予め親族でよく話し合っておく、不動産が多い場合は把握し整理の余地がないか考える、生前に名義を変更しておく・・資産状況に応じていろいろな手立てが考えられますが、もっともシンプルで有効なのは、妻が困らないような内容の「遺言書を作成する」ことです。

遺言書のメリットの一つは、法定相続以外の分け方を指定できる点です。
民法の定めによると、妻4分の3、夫の兄弟4分の1 であっても、遺言書があれば、妻に全部ということも可能なのです。
但し、作成の仕方に注意をしなければせっかくの遺言書が思い通り機能しないこともありますので、専門家に相談し、できる限り公正証書遺言がよいでしょう。

公正証書のメリットは、前回の記事にも載せましたが、偽造・改ざん・紛失のリスクがないことや、遺言書を開けるときの検認(家庭裁判所で自筆証書を開封する手続き)が必要ないこと、そして公正証書を使用しての手続きが可能であることです。
さらに、しっかり作り込むことで、夫の兄弟にはハンコをもらうことなく各種名義変更ができたり、自分だけでは遺言の内容を実現することが大変な場合には、信頼できる人に手続きを頼めるような、道筋を準備することができます。

たとえば、全財産を妻に遺すという内容の公正証書遺言があれば、遺された奥様は、自宅に住み続けることができ、ご主人の預金も株も、すべて手に入れることができるのです。

その場合、夫の兄弟は何も言ってこないの?
ということが心配ですよね。例えば・・・
*「法定相続分をよこせ」という主張をされたとしても、きちんとした公正証書遺言があれば、法定相続分よりもそちらの方が有効です。
*「こんなのは兄が作ったものではない。勝手に作らせたんだろう」と難癖をつけられたとしても、公正証書遺言があれば、夫がしっかりと自分の意思で作成したものであることは、公証役場のお墨付きですので、何も怖いことはありません。
このように、子どもがいない夫婦が妻に(夫に)間違いなく資産を遺すには、遺言公正証書はかなり重要な手段となります。


この記事を書いた専門家

吉井 朋子
Green Garden行政書士事務所 代表・行政書士
GreenGarden行政書士事務所 吉井朋子

カテゴリー:相続・遺言

遺言書作成40件以上、相続手続20件以上。大学卒業後、旅行会社就職・結婚・癌手術・離婚を経て、行政書士歴11年。明るく誰にでもわかる説明と家族のようなサポートで「もめない相続」の実現に向けて活動中。

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