「60歳からの起業」

終活スペシャルインタビュー
株式会社高齢社 上田 研二

高齢者の人材派遣事業を通じて、働く場と生きがいを提供する株式会社高齢社。高齢ゆえの豊富な経験を強みとし、新たに家事代行サービス「かじワン」もスタートさせた。社会のニーズを見極め成長を続ける同社の創業者、上田研二会長にお話をうかがった。

創業して今年で14年になるそうですが、高齢社は上田会長がおいくつの時に創業されたのですか?

上田会長(以下上田):創業が2000年ですから、61歳と11か月ですね。

61歳11か月での起業に怖さはありませんでしたか?

上田:私は、人生なるようになると思っていますから。怖いという感じはあまりなく、それよりも、仕事が全くないほうがよっぽど怖かったです。

起業に至った経緯をお聞かせください。

株式会社高齢社 上田研二会長1
上田:大きく3つあります。
まず、1980年代の後半に株主第一主義が入ってきて、本当にそうかなと、違うんじゃないか、と思い始めたんです。
私は社員第一主義が一番いいと思っていて、自分の信念から社員第一主義の会社を作ってみたいという気持ちがありました。それで60歳の定年と同時に作ろうと思い、55歳頃から準備を始めてたんです。ところが58歳の時に、東京器工という会社を再建する話があり、なかなか社長をやりたがる人がいない。そこで私が手を挙げて、97年2月14日に、東京器工の社長になりました。
就任当日、社員幹部をみんな集めて言いました。「進駐軍としてきました、上田です」と。進駐軍が来るらしいと噂されていたようだったので、腹を割って話そうと思ったのです。そして、「リストラは一切しない。ただし、降格人事はさせてもらう。私も一生懸命やるから、協力してくれ」と話しました。
昼間はお客さんにあいさつ回りをして、夜はみんなを集めて話をして、それから酒を飲んで寿司とって。そういったことを続けるうちに、だんだん「今度来た上田、信用してもいいんじゃないか」というムードができてきて、自然に売り上げも伸びてきました。

私は東京器工を舞台に、伊丹敬之さんが唱えていた、人本主義経営をやってみたんです。それが非常にうまくいきました。それが一つ目です。

二つ目としては、少子高齢化で、技術や技能などの継承が非常に難しくなるから、高齢者の活用をしていく必要があるだろうということ。

あとは定年後、最初半年間くらいは楽しいみたいですけど、それを過ぎると家にいるのが辛くなってきて、「産業廃棄物」が家にいるような感じになります。外に出たくなって、しょうがないから犬を連れて散歩に行くんですけど、「犬も嫌がる五回のさんぽ」というわけです。
そうはいっても毎日は働きたくないですから、ワークライフバランスを取りながら、ワークシェアリングできる働き方がないかと。
私は当時まだワークライフバランスやワークシェアリングというのを知りませんでしたが、みんなが一番働きたい働き方の仕組みがができればと。
年金併用型で、自分で稼いだ金は小遣いで使えるという風にしたいなと考えました。
弊社の特徴として、土日休日の給与割り増しはつけていないんです。週三日、時間で言えば30時間未満で働いてもらって、しかも一人の仕事を2人で分け合う。月水金の人と火木土の人と言った形ですね。そうすると社会保険料も払わなくて済む。

また、土日だと非常に仕事の効率がいいんです。交通機関も移動がしやすいし、クライアントにとっては割り増しがないからコストダウンになる。その会社の社員も、あまり出勤したくない土日に出勤しなくていいから喜んでいる。そして、一番喜んでるのは誰かというと、派遣社員の奥さんです(笑)。

お話を伺っていると上田会長のパワーが伝わってきますが、元気の秘訣があれば教えてください。

上田:いつも言ってる、これ。(小指をたてる)

(笑!!) ――他にはありますか?

上田:仕事と、白米と、女性。

ちなみに、好みのタイプは?

上田:やせ形で、小柄な子がいいね(笑)。

平成24年4月より始められた「かじワン」とはどのようなサービスなのですか?

株式会社高齢社 上田研二会長2上田:家事代行サービスです。一番多いのが掃除。あと多いのが料理と、子供の学校の送り迎え。その三つでおそらく90パーセントくらいを占めています。
ニーズは相当ある。採算性の問題で、コストダウンをどうやるか。これをやらないと厳しいですけど、うちとしては高齢者事業の二本柱でやっていきたい。
料金は一時間1980円、最低2時間でやらせてもらっています。

交通費は距離関係なく900円。初回は1000円引き。この値段だとまだ赤字なんですよ。
一回使ってみていただいて、ご満足いただけたらリピートしてもらい、そこでようやく元が取れるようになります。
大半の家事代行サービスは金持ちを相手にやっています。うちはそうじゃなくて、共働きなどの中間層で使える値段で提供する方法を考えました。

現在の派遣エリアは?

上田:おおざっぱにいうと一都三県です。周りの方は人がまだ揃っていないので、都心が中心です。

御社の今後のビジョンをお聞かせください。

上田:ビジョンはないんですよ。(笑)色々やりたいことは山ほどあるんですけどね。

やりたいこととは?

上田:例えば、私みたいな体の不自由な人が、片手でも着脱容易な身の回り品の開発、販売提供とか。

同席した有我社長:彼は農業をやりたがってる。だけど、農業をやるのは良いけど、一次産業の生産は年寄りも若者もやりたがらない。そこを解決できればいいビジネスになると思う。あとはシニアの婚活事業。それと、教育関連のことでやりたいなと思ってるのがひとつ。今、小学校の先生というのは女の先生が非常に多く、そのほとんどが文系です。子供たちというのは、自分の先生の好きな学科を好きになってしまう。だから、文系の子供を6年とか9年かけて作ってしまっていて、製造力の日本としては少し問題ではないかと。
三菱総研の小宮山理事長にも、高齢者を学校に派遣してはどうですかと言われ、考えています。
いくらでも仕事はありますよ。

上田:私が中小企業の経営者の研修会で必ず言う事が二つあります。一つは、売れない理由を景気のせいにしないでくださいという事。売れない理由は必ず社内にあります。
二つ目は、「うちの会社に人材がいない」とは言わないでくださいという事。自分だけが人材で、それ以外は違うと思っている経営者がいっぱいいるんですよね。

最後に、高齢者の方にメッセージをお願いします。

上田:私の好きな言葉で、ひとつは「恒(つね)に夢を持つこと 志を捨てず 難きにつく」
これは、日本で初めてテレビを作った高柳健次郎さんの言葉です。
みなさんにも、夢や志というのは、死ぬまで持っていてもらいたい。

もう一つ。過去から現在を見たときの今は、自分にとっては一番歳を取った時。だけど、現在から未来を見据えたときの今は、自分にとって一番若い時です。
だから、今日一日を常に大切にして、精一杯、自分のためもありますけど、社会のために生きていきたいと思っています。

 

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※肩書き・サービスの内容はインタビュー当時(2013年)のものになります。

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